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非正規労働者はなぜ増加したの?

非正規雇用労働者増加の現状と原因、今後の動向について

非正規雇用労働者はなぜ増加したの?

1.非正規雇用労働者増加の現状

1)初めに
 厚生労働省がまとめた「令和元年(2019年)就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、非正規雇用労働者を雇用する企業側の事情と、非正規雇用を選んだ労働者側の事情が次のように記載されている(複数回答)。カッコ内は前回2016年の調査結果。

(企業側の事情)
①正社員を確保できないため・・・38.1%(27.2%)
②仕事の繁閑に応じるため・・・31.7%(32.9%)
③賃金の節約のため・・・31.1%((38.6%)
※前回2016年の調査では、「賃金の節約のため」が最も高く38.6%を占めたのに対して、今回調査では「正社員を確保できないため」が第1位となった。足元の労働市場のタイト感が表れているといえる。

(労働者側の事情)
①自分の都合の良い時間に働ける・・・36.1%(37.9%)
②家庭の事情との両立・・・29.2%(25.4%)
③家計の補助、学費等を得たいから・・・27.5% (30.6%)
※前回調査とあまり大きな変化はない。

 企業側、労働者側共に、各々の事情で非正規雇用を選択していることが見て取れる。
正規雇用労働者比率の高さは、当面継続するものと思われる。近い将来には、仮に一家4人全員が生産年齢人口とした場合、一家の主たるご主人と長男は辛うじて正規社員であったとしても、奥様は近くのコンビニで短時間のパート、長女は有期の登録型派遣労働者として勤務するのが典型的な労働者家庭となる事が見込まれる。嘗ては、派遣等の非正規雇用労働者の存在は、周りを見回せば、そういう人もいるようだといった程度の認識でしかなかった。ところが今後はどの地域でも、どの家庭でも当たり前に目にするありふれた光景になるものと思われる。即ち、家族の半分が非正規雇用労働者の時代がすぐそこまで来ていると言える。 

 以下、総務省「労働力調査」を元に、労働市場の変遷について検証してみたいと思う。同調査結果に基づき、2021年まで実績値を掲載している。

2)正規・非正規雇用労働者数の推移(2021年まで実績)

 上記総務省の「労働力調査」においては、上記の通り労働者の就業形態を7つに区分しているが、就業形態ごとの定義は行われていない。厚労省の「就業形態の多様化に関する総合実態調査」においては次の様に定義されている。

就  業  形  態

正社員

事業所と直接雇用関係のある労働者で雇用期間の定めがない労働者の内、正社員・正社員等とされている者(他企業への出向者を除く)

 

いわゆる正社員

職務、勤務地、勤務時間がいずれも限定されない正社員

多様な正社員

職務、勤務地、勤務時間等が限定される正社員(育児・介護休業法に基づく育児・介護短時間勤務中の正社員は含まない)

 

 

 

正社員以外

出向社員

他企業より出向契約に基づき出向してきている者

契約社員(専門職)

特定職種に従事し、専門的能力の発揮を目的として雇用期間を定めて契約する者

嘱託社員(再雇用者)

定年退職者等を一定期間再雇用する目的で契約し、雇用する者

パートタイム労働者

常用労働者のうち、フルタイム正社員より1日の所定労働時間が短いか、1週間の所定労働時間が少ない者

臨時労働者

常用労働者に該当しない労働者で雇用契約期間が日々又は1か月未満の労働者

派遣労働者

「派遣労働法」に基づき派遣元事業所から派遣されてきている労働者

その他

上記以外の労働者

①正規・非正規労働者数の推移
 総務省の労働力調査は1946年9月より始まっているが、非正規雇用者に関する統計は1984年から登場している。それ以来総労働者数は毎年着実に増加してきた。内訳的には、正規雇用労働者数は1994年をピークに2015年まで約20年間に亘り下がり続け、その後は緩やかに回復基調を示しているが、未だ1994年のピークまでは回復していない。従って、この間の総労働者数の増加は、非正規雇用労働者数の増加で占められていたと言える。
 しかしながら2020年に至り初めて、総労働者数は対前年△0.5%となった。但し、正規雇用労働者数は対前年+1.2%であったのに対して、非正規雇用労働者数は初めて対前年△3.3%、比率にして37.1%(対前年△1.2%)となった。しかも非正規雇用労働者の全ての区分において減少し、当該傾向は2021年も継続している。これはコロナウイルスが猛威を振るい始めたことによる経済活動の低迷が、飲食業等の対面且つ比較的低熟練度の非正規雇用労働者の雇用環境に大きな影響を与えた可能性が高いと言える。長年にわたり正規雇用労働者数・比率共に一貫して下がり続けていたので、もはや正規雇用労働者の減少が限界に達していたともいえる。

②正規・非正規労働者比率の推移
 正規雇用労働者比率は、1984年以来一貫して下がり続けていたが、2019年の61.7%を底に2021年には63.35%まで回復している。非正規雇用労働者比率は正規雇用労働者比率とは逆に1984年以来一貫して上昇を続けていたが、2019年の38.3%をピークに下降に転じ2021年には36.7%まで低下している。即ち、正規雇用労働者比率と非正規雇用労働者比率は、逆相関の関係にあり、一方が増えるともう一方は低下する関係にある。

③雇用形態別労働者数の推移
 非正規雇用労働者で一番多いのはパート、次がアルバイトで、2021年の両者の数字を合計すると1,463万人(対前年△1.1%)、総労働者数の25.7を占めている。パート労働は子育て期以降の家庭の主婦が中心となっている。そういう意味では欧米主要国ではもはや存在しないM字カーブが、日本においては消滅しつつあるとは言いながら、今だに存在していると言える。アルバイトは学生及び正業に従事していない若年労働者が中心となっている。
 派遣社員は141万人、全労働者数の2.5%となっている。従来派遣社員をめぐる様々な労働紛争や社会を騒がす重大事件が多発していたが、総労働者数に占める絶対数においてはかなりウエートが低いと言える。

3)M字カーブとは
①日本におけるM字 カーブ
   女性が出産や育児により職を離れることによる労働力率の低下の年代別推移が、ローマ字のM字に似ていることから、「M字カーブ現象」と呼ばれている。日本においては、今から半世紀前の1975年当時は、20代後半の女性の労働力率は43%程度で、M字カーブの底と言われていた。それが次第に労働力率及び年齢階層が上がり36年後の2011年には、この年代の女性の労働力率は78%となり、逆にM字のピークとなっている。

 現在も日本においてはM字カーブが存在するが、M字の底は次第に浅く台形に近づいており、しかもM字の底の年齢層は年々上昇している。これは女性の高学歴化、晩婚化、未婚化により長期にわたり働き続けたいという方が増えていることと、結婚・出産後も就業を希望する女性が増えてきていることが原因と考えられる。

 後述の通り、日本においては他国に例をみないほどの急速な少子高齢化が進行している。少子高齢化の弊害を克服して、国の経済力や活力をアップさせるためには、OECD先進国のような出産・子育てを支援する国の施策が是非とも必要とされる。

②諸外国の状況
 OECD主要先進国においても昔はM字カーブが存在していたが、今日においては殆ど消滅している。但し、韓国だけはM字カーブの底が日本より若年層化かつ深くなっており、唯一の例外と言える。

 スウェーデン、ドイツ、フランス、アメリカでは「逆U字型」と呼ばれ、30代から40代にかけての女性の出産・子育期における就業率は逆に高まっており、ある特定の年齢層の労働力率が低下する現象は生じていない。これはスウェーデンやフランスにおいて特徴的であるが、出産や子育てをしながらでも仕事を継続することができる国の施策がしっかりできているからである。
 ドイツやフランスにおいては、女性の育児休業休暇が、子供が3歳に達するまで最長3年間取得可能となっている。男性についてはそれほど長くはないが、育児休業取得率がフランスではほぼ100%となっている(因みに厚労省発表の日本の2021年度の実績では、女性の育児休業取得率は85.1%、男性は13.97%となっている。特に男性の育児休業取得率の低さが、OECD諸国との比較で際立っている)。更に育児休業を取得すると助成金が支給される等の育児休業取得推進策が設けられている。しかも子育て休職期間中においてもフランスでは就業時の90%、スウェーデンでは80%の所得が保証されており、日本の60%台とは大きな格差が存在している。育児休業終了後は、元の職場への復帰が原則
となっている。日本の様に出産を選択したら仕事を辞めなければいけない、仕事を選択したら出産をあきらめなければいけないといった、二者択一的な労働環境はとうの昔に解消されている。

4)雇用形態別・性別平均賃金

5)雇用形態別・年代別・性別平均賃金

6)雇用形態別社会保険等への加入状況(令和元年)

①雇用保険への正規雇用者の加入割合は約93%。非正規雇用者の加入率は約70%となっており、健康保険と厚生年金への非正規雇用者の加入割合に比較すると、高率となっている。その理由としては、雇用保険料率が極めて低い(2022年改訂前通常の事業総計で0.9%、内労働者負担は0.3%)ので、事業主及び非正規雇用者共に加入することが大きな負担とならないことと、非正規雇用者は雇用が不安定であるために、健康保険・厚生年金には加入できなくとも、雇用保険には加入する必要性が高い事があげられる。

②健康保険と厚生年金の正規雇用者の加入率は共に97%前後になっているのに対して、非正規雇用者は共に60%前後に留まっている。2022年現在の健康保険と厚生年金の労働者と事業主の保険料率の合計は、総収入の約30(労働者と事業主が各々1/2づつを負担)とかなり負担が大きい。非正規雇用労働者の場合、事業主及び非正規労働者共に加入に消極的であることが見て取れる。因みに、健康保険と厚生年金への加入は、ワンセットになっているが、原則として厚生年金への加入は70歳に達するまでのために、健康保険加入率よりも厚生年金加入率の方が若干低くなっているものと思われる。

③退職金については正規雇用労働者の約8割に支給されている。非正規雇用者の13%に支給されてはいるが、正規雇用者に対する支給額は長期に亘る勤続年数と勤務評定に応じて年収の数年分の高額に達するのに対して、非正規雇用者に対しては、1月分にも満たない支給額が多くなっている。給料や賞与同様、非正規雇用者の総収入が正規雇用者に対して低額となっていることの大きな要因の1つとなっている。

④賞与は正規雇用者の約87%に支給されているのに対して、非正規雇用者への支給率は約36%となっている。正規雇用者に対する賞与支給額は年間給与数か月分であるのに対して、非正規雇用者に対する賞与は年間1月にも満たない場合が多い。月額給与や退職金と共に、正規労働者と非正規雇用者の収入総額に大きな格差を生み出す要因となっている。特に大企業においては、年間収入に占める賞与の割合が高く、中には賞与だけで年間収入の半分に達するところもある。このような会社では、月額給与は世間の一般的なレベルに設定して、業績が良いときには多額の賞与を支給して、業績が悪い時には賞与を若干控えめに調整弁的に支給することが行われている。

⑤財形貯蓄については、減少傾向とは言いながら、2020年現在で契約件数が約700万件、貯蓄残高約16兆円(1件当たり約230万円)存在しており、生活資金や持家促進のための金利や融資面の優遇は極めて大きいと言える。主として大企業の福利厚生制度の一環と言える。正規雇用労働者についても2分の1程度しか適用されていないので、非正規雇用者についてはほとんどその恩恵は無きに等しい。上記の賞与や退職金同様、労働者の生涯収入に大きな差異をもたらす要因となっている。

⑥企業年金については3階建ての年金制度の3階部分を構成する年金であり、確定給付年金(基金型・規約型)、厚生年金基金、確定拠出年金(企業型)、確定拠出年金(個人型)iDeCoがあるが、主として大企業の福利厚生制度の一環と言える。正規雇用労働者についても3分の1程度しか適用されていないので、財形貯蓄同様非正規雇用者については殆どその恩恵は無きに等しいと言える。上記の賞与や退職金同様、労働者の生涯獲得収入に大きな差異をもたらす要因となっている。この中には、広い意味で持ち株制度も含まれ、当該制度のある大企業とそうでない中小企業とでは、従業員の生涯収入に大きな格差を生じさせる要因となっている。

7)公共工事労働者の社会保険加入状況推移

 政府(国土交通省)の諮問機関である「中央建設業審議会」は1949年に設立されているが、2012年3月に次のような提言を行い、社会保険未加入対策推進協議会が設置された。
 千葉県においても、2015年4月1日の「県発注工事における社会保険未加入業者の入札参加の排除」と題する条例が制定されて、公共工事における社会保険未加入事業者の入札及び下請けを含めた建設工事への参加ができなくなった。

Ⅰ.中央建設業審議会提言(2012年3月抜粋)
「今後は、行政・発注者・元受企業・下請企業・建設労働者等の関係者が一体となって、社会保険未加入は許さないとの固い決意をもって対策に取り組むことが不可欠である。このため、必要な推進体制を速やかに構築し、それぞれの立場からの取組を着実に進めるべきである」。

Ⅱ.社会保険未加入対策推進協議会
  下記の協議会に参加している各建設業団体は、それぞれの立場から社会保険加入を計画的
  に進めるため、計画期間を5年間とする「社会保険加入促進計画」を策定し、毎年フォロー  
  アップを行うこととする。
1 全国協議会
  参加団体等・・・学識経験者、建設業団体、発注者団体、労働者団体、厚生労働省・日本
  年金機構、国土交通省

2 地方協議会
  各地方ブロックにおいても、国土交通省地方整備局が事務局となり、地域の実情に応じた
  加入徹底をきめ細かく行うため地方協議会を設置し、情報共有や意見交換などを行う。

「目標」
   実施後5年の2017年を目途に、企業単位では公共工事入札参加許可業者の加入率を100%労働者単位では製造業相当の加入状況を目指す。詳細は次による。

1.行政・元受け・下請一体となった保険加入の促進
2.行政によるチェック・指導
3.直轄工事における指導
4.元受企業による下請企業への指導
5.法定福利費の確保

 上記のグラフを見てお分かりの通り、社会保険未加入対策推進協議会が設置された2012年より社会保険加入率が徐々に上昇し、5年後の目標年度である2017年には各社会保険加入率が90%前後に到達した。

8)失業率と有効求人倍率の推移

①上記のグラフを見ても分かる通り、完全失業率と有効求人倍率は、逆相関の関係がある。完全失業率が上昇すると有効求人倍率は低下して、完全失業率が低下すると有効求人倍率は上昇する特徴がある。

失業率は、2002年当時の5%超の高レベルから、2018年~2019年は2.4%、2020年と2021年は共に2.8%とかなり低い水準に低下してきている。

有効求人倍率は、2018年は1.61、2019年度は1.60とかなり改善していたが、2020年度はコロナウイルス禍による経済活動の低迷により一転して1.18、2021年度は1.13、2022年12月時点では1.35と未だ低下傾向を示している。

④日本企業は、総務省の労働力調査が開始された1984年以来、2009年のリーマンショック後数年の世界的景気低迷期を除き、平成景気の影響を受け有効求人倍率は上昇してきた。それにもかかわらず正規雇用労働者を減らし、一貫して非正規雇用労働者を増加して労働者不足の穴埋めをしてきた。

⑤2020年来の足元の有効求人倍率の低下は、コロナウイルス禍による労働需給の低迷による。但し、完全失業率は未だ2%台であり、その影響は非正規雇用労働者減少の形で表れている。この間の事情は、上記(2)正規・非正規雇用労働者数の推移で詳述している。

9)これまでの非正規雇用労働者増加の動向

①日本企業は、総務省の非正規雇用労働者に関する労働力調査の開始された1984年以来、平成景気の影響を受け労働者数を一貫して増やしてきた。但し、正規雇用労働者比率は減少傾向であったのに、非正規雇用労働者比率は一貫して増加してきた。即ち、この間の総労働者数の増加は、非正規労働者数の増加で賄われていたと言える。

②1973年の第一次オイルショックの頃から、コスト削減のために非正規雇用労働者比率を増やし始めたと言われている。しかしながら2018年以降失業率が一貫して3%を切っているにもかかわらず、非正規雇用労働者比率は、高止まりしたままである。
 少なくとも日本のこれまでの非正規雇用労働者比率は、賃金や商品価格同様、下方硬直的な性格を有しており、一旦非正規雇用労働者比率を増やした企業は、たとえ労働環境が改善しても依然として、従来の非正規雇用労働者比率を維持或は増加させる傾向があった。

③非正規雇用労働者比率は当該統計が始まって以来、一貫して上昇し続けてきた。失業率の上昇が続いた2002年までは、非正規雇用労働者比率も同様に上昇傾向を示していた。それ以後は景気の若干の回復と共に失業率は低下したのに対して、非正規雇用労働者比率は一貫して上昇を続けて来た。一旦非正規雇用者比率を増やした企業は、例えその後雇用情勢が改善傾向を示しても、元のレベルの正規雇用労働者比率に戻していないことが見て取れる。

④但し、上記(2)正規・非正規雇用労働者数の推移に示すとおり、2020年度に至り非正規雇用労働者数は初めて対前年△3.3%となった(同比率も初めて対前年△1.2%となった)。これは非正規雇用労働者比率が高止まりしている中、2020年初来のコロナウイルス禍による主として飲食業等の、第3次産業に従事する未熟練の非正規雇用労働者に対する雇用環境の悪化が原因となっていると考えられる。

2.非正規雇用労働者はなぜ増加したの?

1)日本円の対ドル為替レートの推移・・・円/1ドル
①円相場の推移概略
 ・1871年(明治4年)     1円※
 ・1945年9月             15円
 ・1947年7月             50円
 ・1948年7月               270円
 ・1949年~1971年   360円
 ・1971年12月      308円
 ・1973年2月~         変動相場制に移行
 ・1973年12月          ニクソンショックにより200円代に突入
 ・1985年9月            プラザ合意により100円代前半に突入

※米国との間の初めての為替レートは1円でスタートしたが、以後緩やかに4円程度まで円安となり、1941年太平洋戦争突入で為替レートは消失した。19459月終戦後、初めての為替レートは1ドル15円程度で開始した。   

②円相場の長期推移グラフ

2)日本の景気変動の推移、トピック
①日本の経済成長率(実質GDP)の推移 

(経済成長期)
戦後復興期:1945年~1955(11年間)
高度成長期:1956年~1973(18年間)・・・為替相場360円/ドルの時代
安定成長期:1974年~1990(17年間)・・・  同 200円/ドル前後の時代
低成長期 :1991年~2016(26年間)・・・  同 100円/ドル前後の時代

(就職戦線)
就職氷河期Ⅰ:1993年~2005年のバブル崩壊後の新卒者就職困難期
就職氷河期Ⅱ:2010年~2013年のリーマンショック後の新卒者の就職困難期 

②経済トピック、他

 

     経済トピック、他

非正規雇用者比率()

19501953

朝鮮戦争による戦後特需景気

 

19551957

神武景気(31か月)56年経済白書に「もはや戦後ではない」登場

 

1958

鍋底景気

 

19581961

岩戸景気(42か月)、池田内閣の所得倍増計画、3種の神器

(白黒TV、洗濯機、冷蔵庫)

 

1964

東京オリンピック景気(24か月)、海外旅行解禁

 

19651970

いざなぎ景気(57か月)3C時代(カー、クーラー、カラーTV)

 

1971

ニクソンショック

 

1972

田中角栄「日本列島改造論」出版

 

19732

1ドル360円から変動相場制に移行

 

197310

第一次オイルショック、原油価格4倍に

 

1978

カーターショック、ガルブレイス「不確実性の時代」発刊

 

1979

第二次オイルショック、原油価格2.4倍に

エズラ・ボーゲル「Japan as NO.1」出版

 

1985

プラザ合意、円高不況、対外純資産世界一

(84)15.3

19861990

平成景気 バブル景気(51か月)

 

1989

日経平均3.9万、三菱地所ロックフェラーセンター買収(95年撤退)

19.1

19911993

バブル崩壊

20.3

1997

平成不況

24.9

2008

USAリーマンブラザーズ社破綻

34.1

20102013

リーマンショックによる不況

34.436.7

③労働関連法の制定

労働関連法

施行年度、最新改正

職業安定法

1947(昭和22)

労働基準法

同上、2015年(平成27年)改正

雇用保険法

1947年(昭和22年)失業保険法として成立、

1975(昭和50)雇用保険法となる

高齢者雇用安定法

1971(昭和46)2013年改正

労働安全衛生法

1972(昭和47)労基法から分離

男女雇用機会均等法

1986(昭和61)20007年改正

労働者派遣法

1986(昭和61)2015年改正

パートタイム労働法

1993(平成5)2008年改正

労働契約法

2007(平成19)2013(平成25)改正


3非正規雇用労働者の発生と増加
①戦後の高度経済成長期(1956~1973)
 戦後の高度経済成長期において、日本企業は常に人手不足で、労働者を囲い込む形で正規雇用が常態化していた。それを補う形で農閑期に農村地帯からの出稼ぎ労働者や主婦のパートタイム労働者、及び学生アルバイトを非正規雇用労働者として雇用する形が定着した。

 少なくとも戦後1970年のいざなぎ景気の頃の「集団就職」や「中学卒業生は金の卵」ともてはやされた時代までは、積極的な非正規雇用労働者の生ずる余地はなかったと言える。従って、この時代の非正規雇用労働者は、正規雇用労働者の不足を補うための調整弁的な役割を担っていたものと言える。

 日本は1950年からの朝鮮戦争による特需を、第二次世界大戦における敗戦、そしてその後の崩壊した経済から脱出するためのスプリング・ボードとして経済成長のスタートを切ったと言える。為替相場も第二次世界大戦後の360円の固定相場制のお陰で、輸出産業を中心に日本経済は大いに成長した時代であった。諸外国において日本製品は未だ、「安かろう、悪かろう」の評価しかなかったが、労務費が安いことによる低廉な商品は、大いに諸外国、特にアメリカにおいて受け入れられた。現在の足元20年程は中国が「世界の工場」として、大きな存在感を誇ってきたが、それまでの日本にとって代わったともいえる。

 中国の労務費は未だ低廉であり、世界における国際競争力はあるが、近い将来においては労務費および物価の上昇によりこれまでの優位性は無くなる時が来るであろう。そしてその地位は、嘗ての日本がそうであったように、他の労務費コストのより低い東南アジア諸国へと移行してゆくものと思われる。 

②安定成長期(1974年~1990年)
 1971年のニクソンショック後、19732月に為替相場が変動相場制に移行した事により1ドル200円台中盤に突入した。同年10月に第一次オイルショックが発生し、原油価格が一挙にそれまでの4のバレル当り10ドル台になった。これにより、日本経済はそれまでの高度成長期から安定成長期に移行した。1979年には第二次オイルショックがあり原油価格がそれまでの2.4のバレル当り40ドルになり政府主導による省エネ・省資源が叫ばれ、民間企業は減量経営に全力を挙げるようになった。コスト削減のための非正規雇用労働者の導入はこの頃から発生しているとみる事が出来る。 

 そして1985年のプラザ合意後は、更に1ドル100円台に突入している。急激な円高の進行により日本の輸出産業は大きな痛手を受けた。1971年のニクソンショック前の固定相場制の時代の主役であった鉄鋼、船舶、大型機械、化学工業等の「重厚長大産業」から、知識・サービス(ソフトウエア)、情報・通信・半導体(マイクロエレクトロニクス)等の「軽薄短小産業」への転換が起こった。

 上記の戦後の高度経済成長期においては、輸出産業による外貨の獲得だけが、日本経済の成長を支えていた時代であった。この時代においては、産業構造が漸く第1次産業から第2次産業へ、そして第3次産業へと大きく変化し始めた時代であった。

 1986年には、その後の労働市場に多くの禍根を残すこととなった労働者派遣法が制定されている。それまで日本企業の発展を支えてきた制度として「年功序列制度」と「終身雇用制度」、そして「企業内組合」がその特徴的な制度として取り上げられることが多かった。しかしながらたび重なる円高圧力により諸外国との価格競争に晒される輸出産業にとっては、唯一残されていた聖域である労務費の圧縮はどうしても避けられない選択となった。日本の製造業は、製品の製造に使用される原材料の殆どを輸入に頼っており、円高による輸入原材料価格の割安感はあったものの、繰り返す円高圧力による輸出製品の採算の悪化を改善するためには、長年の労務費の上昇による労務費負担の圧縮に手を付けざるを得なかったという事である。

 例えば産業界からは、「アメリカにはレイオフ制度があるじゃないか。どうして我々だけが、経済活動が低迷している時期も労働者を雇用し続けなければならないのか。行き過ぎた労働者の保護から脱却して、労働市場の流動化が必要と言える」との意見が多く、労務費を削減したいとする経団連等の産業界の強い意見に屈する形で、労働者派遣法が制定された。

 上記の通り、1985年のプラザ合意後は為替レートが100円台に突入する急激な円高により、輸出産業は大きな痛手を被った。その一方1980年代後半から1990年代初めまでは昭和バブルの発生によりあらゆる不動産価格が軒並み上昇し、借金をして不動産を購入し、それを担保にさらに不動産を購入すればどんどん企業価値が増大すると言った錬金術が横行した時代でもある。夜の世界にもそのバブルの影響が現れ、深夜の銀座でタクシーを何時間待っても捕まらないと言ったことも発生した。北海道の誰も住む人のいない広大なる釧路原野の湿地帯に、「○○不動産所有地」と書かれた看板が立てられた光景を新聞や雑誌で目にした記憶がある。 
 余談ではあるが、その象徴的事例が歌手の千昌夫である。彼は一時、香港、イギリス、オーストラリア、ハワイの一流ホテルを軒並み買収し、「歌う不動産王」とも呼ばれた。もっとも、不動産バブルの終えんで1990年代初めには2,500億円もの巨額の借金を残して、彼の所有する不動産運営会社は倒産してしまう。

 又、この頃には急激なる円高により、日本の有する対外純資産価額は世界一とも言われ、日本の大手不動産会社が強い円を元手に世界中の不動産を買いあさり、「山手線内の土地時価でアメリカ全土が買える」と言われた時代でもある。1989年の三菱地所によるアメリカ・ロックフェラーセンターの買収がその象徴的な事例である(但し、1995年に撤退)。この時期には、多くの企業が本業とは関係ない不動産や有価証券の売買に手を出し、家庭の主婦でさえ株式投資に手を染めた時代である。もっとも、その直後の昭和バブル崩壊によりその多くが不本意な結末となったことは、多くの方のご存じのとおりである。

③低成長期(1991年~)
 1991
年のバブル崩壊後の日本経済は低成長期に移行し、減量経営の一環としてゼロベース予算等に基づく経費の削減、正規従業員を削減して非正規従業員を増加させることによる労務費の圧縮、赤字部門の切り捨て等が、本格的に行われ始めた。1993年には、パートタイム労働法が制定された。
 多くの日本企業はそれまでの日本企業の強さの源泉であり、日本的経営の特徴と言われていた「年功序列制度」と「終身雇用制度」をこの時期に放棄し、その代わりに正規社員を減らしていつでも解雇できる非正規社員を増やしたと言える。

④非正規雇用労働者比率の推移
 総務省統計局の「労働力調査」は、19469月から開始されているが、非正規雇用労働者に関する統計数値が登場したのは1984年(昭和59年)からである。従って、それ以前には当該統計数値は存在しない。しかし一般的には、1973年の第1次オイルショック、1979年の第2次オイルショック頃から労働者に占める非正規雇用者数及び比率共に増加し始めたと言える。

 1984年の初めての同比率は15.3%1990年には20%1995年には25%2003年には30%、世界金融危機後の2011年には35%を超え、2015年には37.5%に達している。当該統計が開始された最初の20年間では、概ね5年毎に5%づつ上昇してきたことが見て取れる。

3.今後の方向性について

1)非正規雇用労働者数の今後の動向について
①正規雇用労働者を解雇して非正規雇用労働者を増やすやり方は、一時的にはコストの削減に寄与し企業業績の改善になるかもしれない。しかし企業の長期的発展を支えるために必要不可欠な人材の育成や、技術の伝承等の面で大きな問題のある事が、近年指摘されている。嘗ての高度経済成長期やバブル期の余分なぜい肉を落とすだけの減量であればまだよかったが、最近では企業の長期的な成長を支えるために必要不可欠な活力源となる、筋肉さえも削ってしまったのではないかと危惧されている。
 これまでほとんどの企業は、非正規雇用労働者に対しては、労働能力向上のための教育や投資を全く行って来なかった。必要な時に低賃金で雇い、不要になればすぐに解雇できる、企業にとっては極めて都合の良い使い捨ての労働力でしかなかった。しかしながら、近い将来における少子高齢化の弊害が懸念される中、もはや使い捨てにできる労働者は存在しないと言える。しかも海外から労働者を誘致しようにも、少なくともOECD先進国との比較では低賃金に属する日本に来て働いてくれる労働者はいないのである。アメリカに行けば日本に来るよりも1.5倍以上稼げるのに、わざわざ低賃金の日本に来る必要はないからである。将来においても同じやり方が通用するのか極めて疑問と言わざるを得ない。

②少なくとも、非正規雇用労働者が全労働者の過半数を占めるようになったのでは、かつて高度経済成長期に日本経済の成長と発展を支えた製造業の力の源泉であった高度の技術力の保持・涵養は不可能と言える。高度経済成長期には日本製品と言えば高品質の代名詞として、世界中のマーケットにおいてその信頼は絶大であった。「Made in Japan」と書かれてあれば、世界中どこでも黙っていても売れた時代であった。ところが最近は、財閥系の大企業でさえも品質偽装に手を染め、世界中から顰蹙を買う時代となってしまった。もはや嘗ての諸先輩が築き上げた、「Made in Japan」の遺産を使い果たしてしまったと言える。
 言うまでも無く日本は天然資源の乏しい国である。シンガポールの例を引き合いに出すまでも無く、我国が国際競争に打ち勝ち、国家を存続・発展させていくためには、唯一人的資源の確保こそが重要と言える。リストラ、合理化、コストダウンと称して、正規労働者を減らしてむやみに非正規労働者を増やしてきたが、もうそろそろこのような行き過ぎた非正規雇用労働者増加の流れを見直す時期に来ていると言えるのではなかろうか。

③日本は長年にわたる非正規雇用労働者割合の増大により、労務費が低下してきたことは事実である。今ではアメリカの労働者の最低賃金が時給15ドル(1,800円)程度のところ、日本の最低賃金は時給1,000円程度である。
 2023年3月5日付け日経朝刊には次のような記事が掲載されている。「日本の平均賃金は、OECD加盟38か国中24位で、主要7ヶ国(G7)中最低。2015年には韓国にも抜かれた。よりよい労働条件を求めて海外に移住する『出稼ぎ日本人』が増加している」。
 少子高齢化の進展による労働力不足が懸念されている中、これでは諸外国から優秀な人材はおろか、普通レベルの労働者を集めることさえも不可能である。
 因みにアメリカの最低賃金は州や地域によりばらつきはあるが、2022年7月現在の主要都市の平均賃金は概ね15ドル/時前後である。ハワイ州では2028年の18ドルへの引上げ目標に従い順次引き上げられている。

④非正規雇用労働者でも女性の場合は、子育て期以降にパートやアルバイトとして家計補助的に働くことも可能であるが、男性の場合には生活を維持するに必要な収入が得られないために、年頃になっても結婚もできない。もし万が一結婚できても、子供も産めない。当然住宅を購入することもできない。死んでもお墓にも入れないというのが実際の姿である。
 やはり労働者として正当なる賃金をもらって、普通の人間が普通に生活できるレベルの生涯収入が得られないのであれば、消費も低迷するのは当たり前である。しかも未熟練の非正規雇用労働者が総労働者の半分にも達しようとする現状においては、国の経済活動も次第に低下してゆくのは止むを得ない。このような限界生活者を大量に生み出すようでは、国際競争力も低下して行くのは避けられない現実と言える。

2)少子高齢化の克服
①少子化の動向
 合計特殊出生率という概念がある。これは15歳以上50歳未満の出産可能年齢の女性1人が生涯に産む子供の数を合計したものである。合計特殊出生率は、アフリカ等の発展途上国では未だ増加傾向である。因みに2020年現在の合計特殊出生率のランキングでは、出典により若干のばらつきはあるが、世界194か国中アフリカ諸国が上位から40位ぐらいまでを独占している。

 1位 ニジェール 6.89
 2位 ソマリア 6.42
 3位 チャド 6.35
 4位 コンゴ 6.21
 5位 マリ 6.04
 6位 中央アフリカ 5.09
 以下省略 

 2022年7月の国連報告では世界の合計特殊出生率平均は、1990年の3.3人から2021年の2.3人へと急激に減少している。 少なくともOECD加盟先進国においては世界的に低下傾向である。

 日本における合計特殊出生率は、第二次大戦直後の1947年には4.54、第2次ベビーブーム直前の1965年の2.14をピークに毎年低下を続けて、2020年は1.34にまで低下した。このままでは2040年には1を切ると懸念されている。一般的に、現行の人口を維持するための合計特殊出生率を人口置換水準と言い、現在の日本においては2.06~2.07と言われている。日本の2021年の合計特殊出生率は1.30であり、既に急激に人口が減少する危険水準に達している。最近では、生涯結婚しない男女が増えているので、この危険はあながち杞憂とは言えない。

 できれば1家族2人の子供、少なくとも1.5人の子供を産み育てることを可能とする政治上の諸施策を期待したい。201510月発足の第3次安倍内閣では、「一億総活躍社会」の実現を目指して、「希望出生率」を1.80としていた。これは当時のOECD主要加盟国中、最も合計特殊出生率の高かったフランスの2.0を目標としたものと思われる。しかし今となっては、この目標は全く画餅(がべい)に帰している。フランスは今では、合計特殊出生率がOECD先進国中極めて高い優等生となっているが、戦前は国民感情的には、女性は家庭内の労働をこなしていればいいとの認識が極めて高く、合計特殊出生率は日本よりもはるかに低かった。それが同国の戦後の人口不足による合計特殊出生を高める必要性に基づく政府の各種の施策が功を奏して、OECD先進国中優等生的な出生率が達成されていることを忘れてはいけない。

 政府はだいぶ前から、国民に対してこの出生率を高めるように要請をしてきた。しかしながら、劣悪なる労働環境の中で困窮する非正規雇用労働者割合が40%にも達しようとする現状においては、全く不可能である。また、政府は数年前から働き方改革と銘打って、遅まきながら労働者の労働環境を改善して、給料を引き上げるように産業界に要請を始めている。但し、すでに諸外国との間にかなり大きな格差が生じている。
 フランスにおいては、2010年代の合計特殊出生率は2を超えていたが、2021年には1.83と足元3年連続で低下してきている。それでも日本よりはかなり高く、これは政府による国民が複数の子供を産み育てることを可能とする社会環境が大きく改善されたからである。少なくとも「出産をとるか」、「仕事をとるか」と言った二者択一的な選択状況にはなく、両者が共存可能な労働環境となっている。最近のマスコミ報道によると同国における非婚カップルは、50%にも達するそうである。しかしながら同国においてはこのような非婚カップルの子供にも婚姻カップルの子供に対するのと同様の子育て支援の施策が適用されており、この事も同国における複数の子供を産み育てるインセンティブとなっていると言えるようである。更に同国においては1971年より、育児休業給付金が就労時の90%支給されており、スウェーデンでは80%となっている。日本の3分の2とは大きな格差が存在している。

 国は単に国民に対して、「子供をたくさん産んでください!」と号令をかけるだけでは、実現は不可能である。せめて、国民が複数の子供を産み育てることのできる社会経済情勢の構築に努力していただきたい。

 韓国の2021年の実績は0.80であったが、韓国統計庁が2023年2月初めに発表した2022年の実績は0.78であり、OECD諸国平均の約半分・最下位となった。同国の30代の非婚率は42.5%で、10年前よりも13.3%増加したそうである。最近の韓国の急激な住宅価格の上昇が婚姻率を押し下げ、出生率の低下をもたらしていると言われている。一部では、韓国は歴史から一番最初に消える民族ではと心配されている。

 2023年1月の新聞には、2022年の中国の人口が60年ぶりに減少に転じたとの記事が大きな驚きとともに掲載されている。下記グラフに、2021年の中国の合計特殊出生率が1.20まで低下の事実が掲載されているので、早晩そうなることは解りきったことである。最近の中国においては、毛沢東の時代の出産奨励の時代から、続く鄧小平の時代における極端な一人っ子政策への急激な方向転換の余波により、少子高齢化の弊害が大きな社会問題となっている。極端な場合には、成人男性1人で自らの両親のみならず、配偶者の両親を含めて4人の老後の介護が必要な事例も発生しているようである。中国の経済成長率の低下と相まって、この問題は大きな社会問題となるであろうことは明らかである。この点については、後日稿を改めて、検証してみたいと思う。

 高齢化の急速な進展
 少子化問題と切り離して考えられないのが、高齢化の急速な進展である。一般的に65歳以上の人を高齢者と言うが、総人口に占める65歳以上の比率を高齢化率と呼ぶ。この高齢化率が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会、28%を超えると(未だ正式名称はないが)超超高齢社会とでも呼ぶのかもしれない。

 2021年の世界194か国平均の高齢化率は9.54%のところ、日本は28.9%と断トツの世界第1位となっている。第2位はイタリアの23.61%、3位はポルトガルの23.15%、4位はフィンランドの22.96%となっている。しかも高齢化社会から高齢社会に移行するのにドイツは42年、フランスは114年かかったのに対して、我が日本はわずか24年で到達しており、そのスピードが異常に早かった。現在の日本は明らかに既に世界一の超超高齢社会になっていると言える。子供が減り続ける中で団塊の世代を中心とした高齢者人口が増えたことが、急速に高齢化社会へと進んだ原因と考えられる。

 現在の日本は、概ね20歳以上の現役世代2人で1人の高齢者を養っている状況であるが、2065年には高齢化率が38.4%に達し、現役世代1人で1人の高齢者を養っていかなければならない大変な時代が到来するそうである。高齢化社会の弊害を克服して日本社会の活力アップのためには、出生率のアップは避けて通れない重要な施策と言える。

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