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ストレスチェック制度とは?

ストレスチェック制度とは?

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 こちらではストレスチェック制度について説明させていただきます。あまりなじみのない言葉と思いますが、厚生労働省が5年の歳月をかけて導入に取り組んで来た制度です。平成22年4月に、当時の長妻厚生労働大臣が、「健康診断でうつ病のスクリーニングを行ったらどうか?」と発言したことが当該制度創設の発端と言われております。用語も当初は「メンタルヘルス」、次いで「メンタルチェック」、最終的には「ストレスチェック」と変更されましたが、当該制度導入の変遷の推移が良く表れております。「メンタル」と言うといかにも、うつ病等の精神病患者を探し出して治療を受けさせるイメージがあるので、うつ病等を未然に防止することを目的とした「ストレスチェック」に変更したと言われております。平成26年6月に労働安全衛生法第66条の10の規定が改正され、平成27年12月1日から1年後の平成28年11月30日までの間に、第1回目のストレスチェックの実施が義務付けられております。一部の識者からは、ストレスチェック制度は、一大臣の全くの思い付から国家的なプロジェクトに格上げされた、と言われております。

 ストレスチェック制度導入の背景には、精神障害を訴える人の増加が背景にあると言われております。厚生労働省に拠ると、平成26年度に精神障害を理由とした労災補償請求は全国で1,456件に上り、5年前に比べて約3割増加しております。うち労災と認定された人は全国で497人(前年度比+61人)に上り、過去最高となっております。精神的な不調は、身体的なけがや病気と違って回復に長期間を要し、企業にとっても損失が大きいと言えます。厚生労働省は来るべき本格的な高齢化社会の医療費の増大を抑えるために、病気になってからの治療から、病気を未然に防止する予防重点を移し始めたと言えます。

1.ストレスチェックとは何ですか?

①「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が回答を記入し、    それを集計・分析する事で、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検    査です。

②平成266月成立・施行で労働安全衛生法が改正され、事業者は平成27年12月から毎年     1回この検査を実施することが義務付けられました。労働者が50人未満の事業場について      は当分の間、努力義務となっております。但し、事業場が対象事業場であっても次の労働      者は対象外となっております。
・受診を希望しない労働者(受診を希望しない労働者への強制はできません)
・契約期間が1年未満の労働者
・労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者(逆にいえば、所定      労働時間が通常の労働者の4分の3以上の労働者には適用されます)

③派遣中の労働者に対するストレスチェック及び面接指導は、派遣元事業者が行う義務を有します。

2.何のためにやるんですか?

①労働者が自分のストレスの状態を知る事で、ストレスをためすぎないように対処する事がス    タートです。
②ストレスが高いと判定された労働者は、医師の面接指導を受けて助言を受けたり、会社側に    仕事の軽減措置を実施してもらい、働きやすい職場環境の改善につなげてもらいます。
うつ病などの精神的な不調を訴える人を出さないように未然に防止することが狙いです。

3.何時までに何をやるんですか?

 平成27121日から281130日までに原則として、全ての労働者に対して1回目のストレスチェックを実施します。
①ストレスチェックは、受診を希望する全従業員が対象で、本人に結果が通知されます。
②ストレスが高い人で、希望者に対して医師による面接指導等の実施、就業上の措置の実施が    なされます。
③個人の結果を一定規模(概ね10)以上の集団ごとに集計・分析し、職場環境の改善や、うつ    病などのメンタルヘルス不調を未然に防止するために役立てます。
④ストレスチェックと面接指導の実施状況は、毎年、労働基準監督署に所定の書式で報告する    必要があります。

4.導入前の準備はどうするんですか?

①会社として、「メンタルヘルス不調の未然防止のためにストレスチェック制度を実施する」   旨の方針を明示します。
②次に、事業所の衛生委員会で、ストレスチェック制度の実施方法等について話し合います。   具体的には、ストレスチェックの対象者、実施時期、質問票の内容、面接指導の方法、集団   分析の方法、ストレスチェックの結果の保存方法等について話し合います。
③話し合って決まったことを、社内規定として就業規則等に明文化して、全ての労働者に明示   します。
④実施体制・役割分担を決めます。具体的には、制度全体の担当者の決定、ストレスチェックの実施    者、同実施事務従事者、面接指導を担当する医師等の決定です。

5.ストレスチェックの実施方法と費用負担

1)ストレスチェックの実施方法
①質問票を労働者に配って、記入してもらいます。
②質問票を回収します。
③回収した質問票を基に、医師などの実施者がストレスの程度を評価し、面接指導の必要な    労働者を選び出します。
④ストレスチェックの結果が実施者から直接本人に通知されます。結果は企業には伝えられま   せん。会社が結果を入手するには、本人への結果の通知後、本人の同意が必要です。
⑤結果は、医師などのストレスチェック実施者(又はその補助実施事務者)が保存します。結果   の保存には、第三者に閲覧されないように実施者(又はその補助実施事務者)が鍵やパスワー   ドの管理が必要です。
2)ストレスチェック実施の費用負担は?
①ストレスチェック及び面接指導実施の費用は、事業主が負担します。
②ストレスチェック及び面接指導を受けるに要した時間の賃金の支払いについては、当然に事業主が負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものです。

6.国の推奨する質問票の様式とは?

①下記の57の各調査項目について、4段階に亘り回答してもらいます。
  A.仕事のストレス要因の調査項目…17項目
  B.ストレスによる心身の状況調査項目…29項目
  C.ストレスに影響を与える人間関係調査項目他…11項目
②上記ストレスチェックの結果をまとめて、A~Cの項目ごとに評価点を集計し、各人に報告     します。高評価点者=高ストレス者となります。
③結果に応じて、医師の面接指導や相談を要する方には、各々申出が出来るように申出先を通   知します。

7.面接指導と就業上の措置は?

①ストレスチェックの結果、「医師による面接指導が必要」とされた労働者から申し出があ   った場合、医師に依頼して面接指導を実施します。
・面接指導の申出は、結果が通知されてから1か月以内に行う必要があります。
・面接指導は、申出があってから1か月以内に行う事を要します。
②面接指導を実施した医師から意見を聴き、就業上の措置を講ずる必要があればそれに従     い、労働時間の短縮や作業場所の変更等の措置を講じます。
・医師からの意見聴取は、面接指導後1月以内に行う事を要します。
③面接指導の結果は事業所で5年間保存を要します。以下の内容が含まれていれば、医師か   らの報告をそのまま保存することが出来ます。
・実施年月日
・労働者の氏名
・面接指導を行った医師の氏名
・労働者の勤務の状況、ストレスの状況、その他の心身の状況
・就業上の措置に関する医師の意見

8.職場分析と環境改善措置は?

①ストレスチェックの実施者に、ストレスチェックの結果を一定規模の集団(部、課、グル     ープ等)ごとに集計・分析してもらい、その結果を提供してもらいます。但し、集団規模     が10人未満の場合、個人が特定されるおそれがあるので、全員の同意がなければ結果の提   供を受けてはいけないとされております。
②集計・分析結果を踏まえて、職場環境の改善を行います。但し、これはあくまでも努力義   務となっております。

9.何に気を付けなければいけないの?

①プライバシーの保護
・事業者がストレスチェック制度に関する労働者の秘密を不正に入手してはいけません。
・ストレスチェックや面接指導で個人情報を取扱ったものとその実施補助事務従事者には、   守秘義務があり、違反した場合には罰則の対象となります。
・ストレスチェックに関する個人情報は適切に管理し、社内で共有する場合にも必要最小限   に止めることが必要です。
②不利益取扱いの防止
・ストレスチェックを受けなかったり、同結果の事業者への提供に同意しなかったり、医師   による面接指導の申出を行わなかったことを理由として、不利益な取り扱いをする事は禁   止されております。
・面接指導の結果を理由として、解雇、雇止め、退職勧奨、不当な動機・目的による配置転    換・職位の変更を行う事も禁止されております。

10.実施促進のための助成金の交付

 当分の間、従業員数50人未満の中小事業主に対しては、当該ストレスチェックの実施は努力義務であり、強制はされません。但し、中小事業主への当該ストレスチェック制度の導入を促進する為に、下記の様に補助金制度が設けられております。

 中小事業主複数社(2~10社)が合同でストレスチェックを実施し、合同で選任した医師、産業医によるストレスチェック後の面接指導等を実施する場合には、下記の様に実費を限度として費用の助成を受けられる制度があります。

(助成金の内容)
①ストレスチェック(年1回)を行った場合

1労働者に付500円を上限として、実費を支給

②ストレスチェック後の医師等による面接指導等を受けた場合
各中小事業主の1事業場当り医師等の1回の活動に付
21,500円を上限として、実費を支給(1事業場に付年3回を限度)

(助成金に関するお問い合わせ先)
〇労働者健康福祉機構 産業保健・賃金援護部 産業保健業務指導課
 電話番号:044-556-9866
 受付時間:平日 9時15分~18時(土、日、祝日休み)
   住所:神奈川県川崎市幸区堀川町580番地ソリッドスクエア東館17階

〇全国の産業保健総合支援センター

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